北村 禎宏

2018 24 Dec

できることできないこと

 プロパーであるが故にできることとできないことがある。同様に外様であるが故にできることもできないこともある。

 その当時、人員削減や工場閉鎖にはプロパーの経営者の頭をかすめることはあっても、実行に移すには大きな心理的壁が立ちはだかったであろうことは容易に想像される。外部からしかも欧米から颯爽と登場した経営のプロにとって、リストラやコストカットはいとも簡単な処方であったであろうことも同様だ。

 CFT(クロスファンクショナルチーム)は数少ないポジティブな施策のひとつだが、これとて横断機能、横断組織といてわが国にももとよりある話しで、とりわけスーパーという訳ではない。コストカッターが瞬く間に神となり、神が瞬く間に大きな勘違い族に転落したことから学ばなければならないことは少なくない。

 大好きな日産から甘んじて立ち去った2万人のも世界中の労働者の人々。8000人は不要であったかもしれないとの報道もある中、忸怩たる思いはいかばかりであろうか。チャリンビジネスが美味しいように、チャリンマネーを集中して受け取ることが構造的に可能な経営者という専門職ではあるが、わが国には異なる文化と美学が存在することを忘れてはならない。グローバルスタンダードという言葉は既に聞き飽きもしているが、倭国の伝統は顕在だ。

 2600年の皇紀を経た現代において、象徴天皇の努めを果たし終える今上天皇の人柄溢れるお言葉とご姿勢から感じ取るべきことは誠心誠意の一言に尽きる。誠心誠意を正心誠意と読み替えたのは勝海舟だが、ロジックやスキル満載のいまのビジネス界に一石を投じる必要があるとしたら「心忘れることなかれ」という一言であろう。

 一に止まることを正といい、私に背くことを公といい、それをもって公正という言葉をなす。蕎麦のリベンジではなく、聖戦としてわが国の司法当局を応援したい。