北村 禎宏

2019 03 Feb

多様性を弁証する

 昨年9月に引き続いての大手コンサルファームマネジメント層との一日はさらに刺激的であった。地頭力が高く回転の速い人々とのディスカッションは、それだけで打ち応えがある。加えて議論の中身のエッジの効き具合によっては鳥肌が立つ。

 ベクトルや温度感が等しいメンバーを率いているときのパフォーマンスは最高だという話しになった。相矛盾するのがダイバーシティ・インクルージョンであるが、どう折り合いをつけるか?と展開した。

 全員賛成も全員反対も却下、八割方賛成、一二割が反対している決議がもっとも魅力的だという出光佐三の取締役会ロジックを持ち出してみたが、刺さらなかった。ただし、同質化した仲良しクラブのリスクは皆が認識できている。

 あれやこれや議論しているうちに、WHYにおいては100%一致、WHATは九割方合致、HOWはいろんな意見やオプションのバリエーションが必要だということで決着がついた。すなわち単様性vs多様性の対立概念から、目的背景、何をする、どう行うの階層構造において同一性のグラデーションを設定することで両方の概念が共存できたことになる。

 私がファシリテーションしたわけでもなく、受講生同士で議論が飛び交い、いつのまにかそのように結論づけられた。実際はWHYのところに民族や宗教を背景とした文化や価値観が絡んでくるので、実践においては解消できない矛盾も少なくないだろうが、理論的にいちおうの理念型を手に入れることはできた。

 そのレベルの皆さんに一言も聞き漏らさない迫力で食い入るように聴講されて、私のスキルも大いに磨き上げられた有意義な一日だった。三月の最終セッションが楽しみである。