久保 雅裕

2018 05 Feb

パリの歳時記を毎月届ける情報紙『カフェ・ド・セーヌ』

パリの日常を切り取り、独特のタッチと巧みな言葉で届けてくれるPDF版の月刊誌『Cafe de Seine(カフェ・ド・セーヌ)』がある。パリ在住50年になろうかというベテラン記者の手によるものだ。パリに住みながら、日本の雑誌のジャーナリストとして活躍してきた小川征二郎さんが企画、執筆、編集、レイアウトから写真に至るまで自身で作っている。「パリ好き」「パリの日常にいつも触れていたい」というコアなパリファンの日本の読者に向けて、毎月メールで配信している。

まずはご覧のように、いつも素敵な扉写真に圧倒される。そして冒頭、必ず届けてくれるのが、パリの風物詩の数々や草木と花々の写真。そしてそれにまつわる歳時記のような文章。例えば、早咲きのレ・アール公園の桜、マロニエの季節、蝉しぐれ、衣替えなどなどフランスとパリを日本と対比させて語り掛けてくれる。

また見本市のネタも挟まれてくる。ファッションやメゾン・エ・オブジェだけでなく、「サロン・デュ・ショコラ」やパンの見本市、あるいは、街中で開かれるパンのフェスティバルまで幅広い。

ちょっと気になるレストランの紹介もあるのだが、所謂トレンドとか新しいとかいう視点ではなく、長きに渡りパリで暮らしてきた小川さんらしい視点でのチョイスだから、ネットでも簡単に引っ掛かってこないものも多いのだ。在仏2世が経営するシャンパンと料理を楽しめる店や50年代に新人シャンソン歌手の為のキャバレーだったワインバーなど捻りの効いたチョイスなのだ。

市民生活の話も暮している人ならでは。運営会社が新しくなったベリブの話やネイマールを迎えるサッカーチーム「パリ・サンジェルマン」、競売場の仕組み、東欧系住民のための食材店、ポンヌフ(橋)の今昔物語、パリ在住日本人写真家の個展など、旬なパリから知る人ぞ知るパリまでネタも豊富だ。

カフェ・ド・セーヌは、月額1000円で毎月配信してもらえる。問い合わせは、小川征二郎さん(seijiro@free.fr)まで。